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政治

「進次郎憎し」で 安倍が燃える理由

後継問題を歪める屈折した情念

2019年9月号

 八月二十四日に佐藤栄作の総理大臣在任記録を抜き、歴代二位の長期政権となった安倍晋三が、自由民主党総裁としての「最後の任期」に残された大仕事であるはずの後継者の育成を放棄し、「人気者潰し」に密かな情熱を燃やしている。フリーアナウンサーの滝川クリステルとの結婚を発表し、巷の話題をさらっていった衆議院議員・小泉進次郎のことである。
 七月の参議院議員選挙の後、九月中旬にも行われる自民党役員人事と内閣改造に関し、安倍が「進次郎を閣内で使うつもりはない」と断言するのを、多くの人が耳にした。その考えは、八月七日に進次郎が滝川と総理大臣官邸に内閣官房長官の菅義偉を訪ね、菅の計らいで安倍も同席して二人から結婚の報告を受けた後も変わっていない。ワイドショーや週刊誌が「進次郎・クリステル」一色になっても、安倍周辺は「それでも進次郎の入閣はない」と言い切る。

 自民党内の空気は違う。

 二〇一八年の党総裁選挙で進次郎が一票を投じた元幹事長・石破茂率いる水月会(石破派)幹部は、この劇的な結婚発表に「これで進次郎の入閣は確・・・