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経済

原発廃炉費用 「国民負担化」の悪逆

BWR「四社連合」結成の本質

2019年9月号

 誰もが経済産業省の差し金と思ったに違いない。が、同省幹部は色をなして吐き捨てた。
「こんな矮小化された記事、誰がミスリードしたんだ!」
 八月八日朝、東京電力ホールディングスが建設を中断している東通原発(青森県)の事業化に向け、中部電力、日立製作所、東芝へ共同会社の設立を打診したという報道が電力業界を駆けめぐった。日本経済新聞電子版が報じ、半月後、四社は提携に向けた協議を開始すると発表したが、具体的な中身は一切なかった。四社による「BWR(沸騰水型軽水炉)連合」の結成は、二年半前から経産省・東電が描いていた基本構想である。それが今さら報じられた理由は何か。しかも、同省幹部の言葉を借りれば矮小化されて……。
“矮小化”とは、報道が東通原発に限定されていることを指す。BWR連合は東電と中電の既存原発、および日立と東芝の原子炉製造部門の統合を目指しているが、既存原発の事業主体が共同会社へ替わるため、原子力規制委員会の承認を得る高いハードルがある。その点、これから建設を再開する東通原発は話を進めやすい。逆に言え・・・