三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

《罪深きはこの官僚》中村 稔 (駐英公使)

国外逃避する 森友文書改竄「実行犯」

2019年9月号

 財務省内部でも今回の人事の評価はわかれる。ある幹部は「抜擢ではない」と報道を否定する一方で、ある中堅職員は「論功行賞」だと声を潜める。ただ、「海外にほとぼりを冷ましに行く」という点では異論はでない。
 財務省は八月十六日付で、官房参事官の中村稔を、駐英公使に充てる人事を発表した。ロンドンの日本大使館の公使は、「外務省のなかでも良いポストで、大抜擢ではないが恵まれた異動」(外務省関係者)であることは間違いない。
 中村は二〇一八年に発覚した森友問題に関する決済文書改竄に関与した人物だ。
 東京大学法学部を卒業した中村は一九八九年に旧大蔵省に入省し、主税局や理財局で順調にキャリアを重ねて、森友学園問題が発覚した際には、疑惑の本丸である理財局で、筆頭課長である総務課長のポストにいた。
 中村が特に罪深いのは、抵抗する職員を排除してまで改竄を強行したこと。後に自殺者まで出した近畿財務局では、改竄指示に反発する気骨のある職員も少なからずいた。この声を受けた上司が本省の中村に相談をしたが、跳ね返され、反発する職員を排除して改竄作業が進められたのだ。
・・・