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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》「人工透析」二兆円利権

批判許さぬ「亡国の所業」

2019年9月号

 低下した腎臓の機能を人工的に代替する透析医療の現場は今、訳ありの医師の巣窟と化している。出世を諦めて稼ぎに邁進する勤務医もいれば、いずれ開業医の親の跡を継ぐ緩い医師の卵も少なくない。「肝臓外科だったはずのあの先生がいつの間にか透析の専門家になった」「跡継ぎ息子には透析の勉強をさせる」。透析医療の最前線では、どこもそんな声が交錯している。理由は単純明快で「楽をして儲かる」(都内医学部教授)からだ。
 透析は専門医資格がなくても、クリニックを開業できる。それが、医術よりも算術に血眼になる輩が跋扈する温床だ。
 これを許しているのが厚生労働省を頂点とする利権の構造で、患者に不要な透析を強いては血税を無駄遣いしていく。
 病院経営者によれば、「人工透析は規格化されているため技師と看護師に任せておけば、医者がやることは皆無に近い」。にもかかわらず、診療報酬は突出して高い。透析患者を一人確保すると、年間五百万円の売り上げを期待できる。その儲けの大きさから、関係者の間では「患者一人、ベンツ一台」との隠喩まで流布するほどだ。

欧米より突出して多い透析率・・・