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韓国「対日強硬路線」は曲がり角に

徴用工問題で解決策を模索

2019年10月号

韓国の文在寅政権が対日、対米、南北関係の悪化に側近のスキャンダルまで重なる内憂外患に直面している。このままでは来年四月の総選挙で敗北し、約二年の任期を残してレームダック(死に体)化するのは避けられない状況だ。これ以上のダメージを避けるため、日本との関係改善に動き出そうとしている。
 文政権が窮地に陥った最悪の一手と見なされているのが、八月二十二日の日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄決定だった。GSOMIAは、中国と北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)から米本土を守るため日米韓の情報伝達を円滑化する狙いで米国が日韓に締結を働きかけたものだった。
「我々韓国は、さほど必要性を感じなかった。米国は、日韓の摩擦を傍観するばかりでこれまで仲介に動かなかった。日本に輸出管理の厳格化措置を撤回するよう米側からも圧力をかけさせるために破棄を宣言した」
 内情を知る韓国情報筋はこのように舞台裏を明かした。
 ポンペオ米国務長官は八月二十二日に電話会談した康京和外相に対して「激怒し、青瓦台(大統領府)は、米国の予想以上の反発にうろたえた」(韓国政府関係・・・