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ステルス機「F35」に 重大懸念続出

戦闘実験で旧型機に「ボロ負け」

2019年10月号

米国の第五世代ステルス戦闘機「F35」の開発に、米国内で深刻な懸念が相次いでいる。総開発費が史上最大の一兆五千億ドル(約百六十兆円)に膨れ上がるという新試算に加えて、模擬戦闘実験では、約四十年前に開発した旧型戦闘機に全く歯が立たなかった。
 今夏には、国防総省内部で、設計上の不具合やパイロットの安全への懸念を指摘する報告書が作成されたことも明らかになった。事故への懸念から、試験飛行すら満足に行われていない。
 安倍晋三首相は「F35の百五機追加購入」を米国に約束したばかりだが、米国内で噴出する不安の念には沈黙したままだ。今年四月には、青森県の航空自衛隊三沢基地所属のF35Aが墜落して、世界で初めて、同系機の犠牲者を出す国になってしまった。

開発費は日本の予算の一・六倍

 国防専門紙「ディフェンス・ニュース」紙が今年六月に入手した内部文書では、最大の懸念事項とされる「カテゴリー1」には、現段階でなお十三の項目が上がっていた。
「航空機室内の気圧が高まることにより、パイロットが気圧外・・・