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政治

「警察国家」化が進む日本

「国家安全保障局長」人事への危惧

2019年10月号

 安倍晋三首相は十一月二十日、明治の元勲である桂太郎を抜いて、憲政史上最長の歴史を刻む。今や「安倍一強」体制という皮肉まじりの称号も既知となり、メディアも多用しない。ところが、この一強も一皮めくれば、実は特定の人物と省庁に大きく頼る「官僚政治」である。それを白日の下にさらしたのが、内閣情報官だった北村滋氏が国家安全保障会議(NSC)の事務局トップ、国家安全保障局(NSS)局長に就任した異例の人事にほかならない。
 NSCは日本の外交、安全保障を司る中核組織として二〇一三年十二月に鳴り物入りで発足した。これを支える初代のNSS局長は谷内正太郎元外務事務次官。その後継として「外交・安保政策の経験に乏しく、畑違い」(外務省筋)の北村氏が抜擢されたのだ。
 しかも、北村氏の後任である瀧澤裕昭氏は無論、官僚機構のトップに立つ官房副長官(事務担当)の杉田和博、内閣危機管理監の沖田芳樹各氏も全て警察官僚出身。張り巡らせた情報網で政治家から市民まで表裏で統べる「警察国家」の足音が響く。
「〇×党の△議員には愛人がいるという話ですよ。知っています?」。
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