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連載

西風461

「キタ」と「ミナミ」の地価競争

2019年10月号

 大阪市内の二大繁華街、キタとミナミ。前者は大阪駅・梅田駅周辺を指し、後者は難波駅の周り一帯の呼称だ。キタはオフィス街が多く、高級住宅エリアを走る阪急電車の始発駅でもあるため、大阪人が言うところの「シュッとした」、つまりお洒落な雰囲気がある。一方のミナミは、よりディープな大阪南部からの人が集まるターミナルであり、猥雑な街並みが広がっている。まったく異なるカラーでいずれも大阪人に愛される街ではあるが、外国人からの人気を集めたのはミナミだった。
 九月十九日に国土交通省が発表した商業地の基準地価(七月一日時点)で、大阪府内トップだったのはミナミの中央区宗右衛門町に立つ住友商事心斎橋ビルだった。一平方メートル当たりの地価は二千四百四十万円。昨年までこのビルは米国資本の所有でクリサス心斎橋という名前だったが、そのときの価格(一千六百八十万円)から四五・二%もアップしており、上昇率でも関西エリア一位だ。キタのグランフロント大阪(北区大深町)も二千百七十万円と大台を突破したが、ミナミには負けた。
 高級な街のはずのキタがミナミに初めて負けたのが昨年三月の公示地価だった。この間、・・・