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経済

外為法改正の裏で「東芝」の暗躍

もの言う株主「排除」で経産省と共謀

2019年11月号


 野菜や花を育てるときに過保護にするとむしろ成長が鈍り、最悪の場合は根腐れする。人や企業についても同様のことがいえる。
 目下、外国資本からの日本企業への出資を規制する外国為替及び外国貿易法(外為法)の改正案が話題になっている。従来は一〇%以上の出資に対して課していた財務省による事前審査に関して、出資比率を一%以上にまで引き下げるという。対象業種も拡大され、従来の通信インフラや国防に関する産業に加えてサイバーセキュリティ関連にまで広げるなど、規制強化の一途を辿っている。
 当初、中国資本への対抗が目的だったものが、いつのまにか「物言う株主対策」にすり替わった挙句、「東芝保護」の様相を帯び始めているというから看過できない。

車谷CEOと「経産省ライン」

 米中対立が激化する中で、米国は昨年八月に外資規制を大幅に強化し、同盟国の日本も追従するように迫ってきた。近年の中国資本による日本企業への積極買収の動きを考えれば、ある程度の措置は必要だろう。
 ところが外為法の改正案の・・・