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経済

JR東日本「台風人災」の罪深さ

北陸新幹線「大損害」の真因

2019年11月号

「JR東日本が台風十九号で被災したことは間違いないが、その陰で『人災』と言うべき事態も引き起こしている」
 ある鉄道専門誌関係者はこう批判する。列島を襲い、各地に甚大な被害をもたらした台風十九号の影響により、JR東管内では十本以上の路線が寸断され運休を余儀なくされた。台風通過の翌朝、水没した姿を晒した北陸新幹線の被害は深刻で、各地の復旧がずれ込み経済活動にも影響を及ぼした。そんな中で、あくまで被害者ヅラをするJR東の姿勢からは、同社の無責任体質が浮き彫りとなった。

防げたはずの車両水没

「千曲川氾濫での車両水没は防げたし、防がなくてはならなかった」
 技術畑を歩んだJRのOBはこう語る。洪水で沈んだ「長野新幹線車両センター」は、長野市が作成したハザードマップで明確に危険エリアに位置していた。同センターの所在地の住所は「長野市赤沼」。その名の通りかつては沼や田んぼが広がっていた場所に車両基地を作ったのだ。
 長野市の想定は、二日間の降水量が百八十六ミリで、センター周辺の浸水は深さ五・・・