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社会・文化

いまだ巨大利権の 「旧社保庁病院」

「再編統合」を狙う厚労省の思惑

2019年11月号

 厚生労働省が九月に発表した「再編統合について特に議論が必要」な病院のリストが、医療関係者の間で波紋を広げている。市町村などが運営する公立病院と、日本赤十字社をはじめとする公的病院の約四分の一に相当する四百二十四病院の実名が並ぶ。とりわけ問題視されるのは、人口減と財政難のダブルパンチに喘ぐ地方の公立病院と同列に、独立行政法人「地域医療機能推進機構」(JCHO)が運営する病院のうち、十八カ所が再編統合の候補として名指しされている点だ。登別病院、秋田病院、伊万里松浦病院、宮崎江南病院……と地方の病院が多い。厚労省の我田引水で再編と統合が進めば、ただでさえ危機的な地域医療の支柱は随所で朽ちていく。
 他方、JCHOが保有する東京、大阪など都市部の病院のうち、名前があがったのは、東京城東病院だけだ。これらの病院は厚労省だけでなく、地元大学医局やマスコミからも天下る利権の受け皿。リストからは地方を切り捨て、稼ぐ都市部に利権を集約する厚労省の魂胆が透けて見える。

「二段重ねの利権」

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