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トルコ「独自核武装」への衝動

エルドアン「米欧離れ」が加速

2019年12月号

「いくつかの国は核弾頭付きのミサイルを持っており、それも一発や二発ではない。しかし、わが国は持てないとされている。これは、受け入れられないことだ。……近くにいるイスラエルは、核兵器を有していることで他国を脅している。しかも、誰もイスラエルの核を論議できないのだ」
 今年九月四日、トルコ東部のスィヴァス市で開かれた与党・公正発展党の党員集会におけるレジェップ・エルドアン大統領の演説は、トルコの核武装の意思表明と受け止められ、世界に衝撃を与えた。
 ただ、エルドアン大統領が核兵器保有の意欲を示したり、イスラエルの核保有に言及するのは、これが初めてではない。大統領は二〇一一年六月に核保有国のパキスタンを訪問した際、「パキスタンから二~三発の核兵器を買える。それだけあれば、十分だ」という発言を残している。以前から、トルコが潜在的核武装国であるとの認識も国際的に共有されていた。
 だが、ブラフを常套句とするこの大統領のこと。いったい、どこまで本気なのか。もし本気だとしても実現性があるのかどうかは別問題で、いまやさまざまな観測が飛び交い、確・・・