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政治

《罪深きはこの官僚》伯井美徳 (文部科学省高等教育局長)

大学入試「大混乱劇」の 狂言回し

2019年12月号

 文部科学相、萩生田光一の「身の丈」失言を誤魔化すかのように、大学入学共通テストにおける英語民間試験の導入は延期された。しかしその陰で、文科省の官僚による民間業者への便宜供与ともいうべき所業があったという。疑惑の渦中にいるのは、高等教育局長の伯井美徳だ。
 今年八月二十七日付で、都道府県知事と教育長、政令指定都市の市長と教育長宛てに文科省からこんな通知が出された。
「(略)『大学入試英語成績提供システム』の参加試験の試験会場に係る施設利用について(依頼)」
 内容は、英語民間試験の会場として各自治体が管理する公立高校を使わせるように求めるもの。現行の大学入試センターでは、全国津々浦々の試験会場のほとんどが大学だ。会場の確保の困難なごく一部で高校を試験会場にすることはあるが、「大学入試」なのだから当然のように大学で行われる。
 にもかかわらず今回、伯井は民間業者が行う試験の会場として高校を使えるように要求したのである。英語民間試験は七種類が利用可能だが、最も受験者を集めるとみられていたのが、ベネッセが主催する「GTEC」だ。当初、来年四月から試験が・・・