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経済

反省なき関西電力 「首脳人事」の行方

事件「幕引き」と組織防衛の不埒

2019年12月号

 関西電力役員らの原発をめぐる金品受領の発覚から二カ月余り、多くの電力関係者は息を殺して政治の気配を窺っている。
「維新がすっかり糾弾の鳴りを潜めたな……」
 関電の筆頭株主である大阪市の市長・松井一郎(日本維新の会代表)は当初、「言語道断! 株主代表訴訟を含めてやれることは全部やる」と気炎を上げ、関電が設置した事実究明の第三者委員会に盟友・橋下徹(元大阪市長)を送り込む構えもみせていた。しかし、十月九日に関電会長の八木誠が辞任し、社長の岩根茂樹も辞意を表明すると、発言は一気にトーンダウンした。関電首脳の国会招致を訴える立憲民主党とも維新は一線を画す。経済産業省からはこんな囁きが聞こえる。
「松井市長と官房長官は、とうに手打ちが済んでいるだろう」

世論度外視の人事案

 すなわち、首相官邸の菅義偉は関電不祥事が政界へ波及することを嫌い、松井に“撃ち方やめ”を要請、松井も大阪万博や大阪IR(統合型リゾート)への国の支援の実を取り、矛・・・