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経済

再び日本を狙う「空売りファンド」

株価「過大評価」企業を脅かせるか

2019年12月号

 米国の「空売りファンド」マディ・ウォーターズ・キャピタルが十一月七日、東証一部に上場するバイオベンチャーのペプチドリームの株について、「売り」だというレポートをウェブサイト上で発表した。同社が積極的に喧伝する塩野義製薬や田辺三菱製薬といった大企業との提携は成果がなく、新薬の上市はほとんど現実的ではないことから、六千億円余りの同社の時価総額は大幅に過大評価されているというわけだ。
 架空の売り上げや粉飾決算を暴き、数々の企業を破綻や上場廃止に追い込んできた海外の空売りファンドは、日本企業については「売り」の指摘後、逆に株価が上がるなど失敗続きだ。もっとも、今回のレポートは的を射ている面もあり、市場は迷っている。バブル崩壊後の「失われた十年」の間、海外の格付け機関が「投資不適格」の烙印を押した日本企業の株価が次々に暴落したようなブームを起こすことができるか。

二〇一六年は失敗の連続

 マディ・ウォーターズは二〇一六年十二月、日本電産がM&A以外では成功していないうえ、目標の未達が続いていることから、ア・・・