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連載

広告を裏読みする 第12話

「疑似科学」に加担するメディア
本誌編集部

2019年12月号

 ホメオパシーなる面妖な民間療法にはまる人や、ワクチンを敵視して捏造とおぼしき副反応を訴える人、水を浄化すると言って得体の知れぬEM菌なる物質を川などに投入する人が絶えない。いわゆる疑似科学ともいうべきこうした嘘を正すのもメディアの重要な役割だが、メディア自身が誤った情報を流し、風説に加担することさえある。誤りはすぐさま訂正すべきだが、実際には、血液型占いなどという無害なものも含めて、非科学的情報が垂れ流されている。
 それが「広告」ともなれば、責任の所在はさらにグレーとなる。本来、メディアは自社媒体の広告について一定の責任を負うべきだが、実際にはルーズな案件も多い。
審査が甘くなる「書籍広告」
 十一月に問題になったのは、朝日新聞のとある書籍広告だ。同紙十一月十二日付朝刊などに全五段で大きく掲載されたのが『イタリア人医師が発見した ガンの新しい治療法』(現代書林)という本である。そこには「重曹殺菌と真・抗酸化食事療法で多くのガンは自分で治せる」と大書されているのだ。問題視すべきは「重曹殺菌」と「自分で治せる」という文言で、重曹とは膨らし粉にも用いられる台・・・

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