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政治

与党・官僚「安倍離れ」の早足

徐々に侘しき最長政権の「晩節」

2019年12月号

 超高層ビルの建設が続き、目まぐるしく変貌を遂げる東京・渋谷。そんな渋谷で取り残されたように昭和の空気が漂う一角がある。JR山手線沿いに小さな飲食店が軒を連ねる「のんべい横丁」だ。十一月二十二日午後七時過ぎ、首相安倍晋三がSPに囲まれて横丁にある焼き鳥店「鳥福」に姿を見せた。焼き鳥の旨い店として知られており、安倍の好きな一店でもある。狭い店内で待っていたのは元首相森喜朗、安倍側近で元参院議員の荒井広幸、そして安倍の亡父晋太郎時代からの安倍番記者だった日本経済新聞社特別顧問の秋山光人ら。会合はいつものことだが話題を独り占めしたのは森だった。ラグビーW杯の日本大会成功の“自慢話”に終始したようだ。
 これに対して安倍は聞き役に徹した感があったという。あまりに多くの出来事に忙殺され、森の話も上の空だったかもしれない。「鳥福」に向かう直前にビッグニュースが飛び込んできた。韓国政府が破棄を決定していた日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の「破棄の凍結」を発表したのだった。GSOMIAが効力を失う二十三日午前零時まで残すところ約六時間。最近では例を見ない劇的な・・・