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経済

トヨタ最高益の陰で苦悶の「下請け」

章男が号令「ケイレツ搾取」の残酷

2019年12月号

 日本自動車工業会の全面広告が十一月六日、朝刊各紙に掲載された。四日に終了した第四十六回東京モーターショーについて「お越しいただいた皆さま、ありがとうございました」というお礼の言葉から始まり、二年後に開催される次回のショーにも来場を呼びかける文章で終わる、文字ばかりの一風変わった広告だ。右下隅には自工会会長であるトヨタ自動車の豊田章男社長のアニメキャラクター風イラストが手を振っている。
「十二年ぶりに入場者数が百万人を突破したからって、いい気なものだ」
 トヨタの系列サプライヤー企業の幹部は苦虫を噛み潰したようにこう語った。まさにこの翌七日にトヨタは今年度上半期の決算発表を行い、売上高と純利益で過去最高の数字を叩き出した。その陰では、このサプライヤーなど多くの「ケイレツ」に対する厳しい要求があったのだが、こうした「搾取」のレベルが一気に別の段階へとシフトしつつある。トヨタ本体だけが勝てばいいという傍若無人の先には荒涼とした地平が広がっている。

吸い上げられる下請けの利益

 トヨタが十一月七・・・