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政治

菅義偉「絶頂」から「失権」までの軌跡

《政界スキャン》

2020年1月号

「桜を見る会」問題は、初め安倍晋三首相の個人事務所が公的な行事に地元支持者を大量に招待していた公私混同問題だったのに、途中からマルチ商法業者や反社会的勢力が招かれていた問題に焦点が移った。それにつれて渦中の人は安倍首相から菅義偉官房長官に代わった。菅氏の反社会的勢力を巡る答弁は支離滅裂、所管する公文書の管理・公開ルールも目茶苦茶なので当然ではあるが、「桜」問題は菅氏の失態というイメージが浸透した。記者会見で連日集中砲火を浴びる表情からは、数カ月前までの覇気が失せた。
 悪いことは重なる。菅氏の「懐刀」で政権の成長戦略に絶大な権限を振るう和泉洋人首相補佐官が部下の厚生労働省女性幹部との「不倫」疑惑を「週刊文春」にすっぱ抜かれた。弊誌既報の旧聞に属するが、「文春砲」は密会写真が何枚もあって生々しい。白昼堂々腕をからめ、食べ物屋でいちゃつく光景は、日本の健康・医療戦略を差配するトップとナンバー2だけに、たとえ「公私はしっかり分けていた」(菅氏の記者会見答弁)としても、恋愛は本人たちの自由と済ますわけにはいかない。国家戦略が男女感情でゆがめられていたとしたら由々しき事態だ。
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