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連載

をんな千一夜 第34話

「慈母」を気取る首相夫人
石井 妙子

2020年1月号

 《安倍 昭恵》

 永田町と霞が関は今頃、大騒ぎになっていることだろうと、先般発売された『週刊文春』(十二月十九日号)の巻頭記事を見て思った。
 官邸官僚として名高い和泉洋人首相補佐官が五十代の厚労省「美人官僚」と出張し、仲睦まじく京都を散策する姿が写真に撮られている。記事によれば二人は揃って京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授のもとを訪れ、「来年(二〇二〇年)から国費は出しません」と宣わったという。年間約十億円の支援を突然、打ち切ると言われて、山中教授は声を失うが、二人はどこ吹く風。その後、京都観光を楽しみ東京へと戻っていったと記事は伝える。二人の関係云々よりも恐れ入るのは、その公私混同ぶりと、パワハラ体質である。何十億円という税金の使い道も、自分の胸一つで打ち切れるのだと、力を誇示して悦に入る。地位ある男性から庇護を受け、異例の出世を遂げた女性は虎の威を借る狐。予算を好きなように付け替え、人事に手をつけ、人を窮地に追い込み楽しむ。相手から予算やポストを奪うことで、権力の快感を得るタイプなのだろう。
 一方・・・

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