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政治

安倍「九月退陣」の潮目

「官邸分裂」で政局の一年に

2020年1月号

 年の瀬、二〇二〇年の政局を占う出来事が間欠泉の如く噴き出した。総務事務次官だった鈴木茂樹が、日本郵政グループへの行政処分案の情報を同社側に漏らしたとして事実上更迭された。直前には、「官邸官僚」の代表格、首相補佐官和泉洋人と大坪寛子厚生労働省大臣官房審議官の不倫を疑われる関係が露呈した。いずれも官房長官菅義偉の対抗勢力の策動が見え隠れする。「安倍一強」の陰で、奥の院は大きく揺らぐ。首相安倍晋三は二一年九月の総裁任期を待たず、東京五輪・パラリンピック後の今年秋に退陣し、政調会長岸田文雄への禅譲も視野に入れるが、思惑通りに事が運ぶ保証はない。
 野党は衆院解散に備え、大同団結へ向かい、この勢い次第では禅譲前にレームダック化しかねない。新たな十二支のサイクルが始まる子年。変数の絡み合う政局も、まつりごと刷新を告げるのか。

首相と官房長官の側近同士の確執

「私の四選はないと言ったら、ないんだ!」。臨時国会終盤、安倍は半ば苛立ちの様相で、側近に言い切った。ただでさえ体力が落ちていく首相官邸で深刻化するのが、安・・・