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民主主義「再生」の処方箋

ヤン=ヴェルナー・ミュラー (現代思想史家)

2020年1月号

 ―民主主義の祖国、英国と米国で大きな政治変化が起きています。

 ミュラー 米英の政治はよく同一に論じられるし、どちらの動きにもポピュリズム(大衆迎合主義)が関係しているという共通点はある。
 大きな違いは、民主主義への脅威だ。英国の欧州連合(EU)離脱そのものは、民主主義を脅かしてはいない。一方、ドナルド・トランプ大統領と共和党の動きは、米国の民主主義を脅かしている。ボリス・ジョンソン英首相は経験豊かな政治家だが、トランプ大統領はそうではない。

 ―トランプ政権は民主主義の脅威なのですか?

 ミュラー 問題は、共和党で、党内民主主義が機能しなくなっていることだ。トランプ大統領は一部の側近のみを使い、ホワイトハウスでは「縁故主義」がはびこっている。共和党は党内の穏健勢力を排除してしまった。党外の過激な右翼勢力の影響が強く、よその国では「急進右翼政党」と呼ばれるような、過激な右派政党のように見える。三十~四十年前の共和党からは、明らかに変わってし・・・