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政治

二階の執拗な「岸田叩き」の理由

宏池会の試練で問われる「宰相の器」

2020年2月号

 宰相の資質である胆力を試しているのか、バルカン政治家のしたたかな計算か―自由民主党幹事長の二階俊博が、執拗な「攻撃」を同党政務調査会長の岸田文雄に仕掛けている。今月、八十一歳の誕生日を迎え、かつての凄みが影を潜めた長老を、六十二歳の岸田が押し返せないようだと、「ポスト安倍」の本命という評価にも傷がつく。周囲は固唾をのんで、「老壮対決」を見守っている。

牙城・静岡を脅かされる屈辱

 一月二十日夜、東京・永田町の自民党本部を、元法務大臣・上川陽子が党静岡県連会長として訪れた。四月二十六日投開票の衆議院静岡四区補欠選挙の公認候補に県議の深澤陽一を選んだと党幹部に報告し、了承を得るためだ。
 同補選は、自民党の伝統派閥「宏池会」の事務総長として会長の岸田を支えてきた望月義夫の死去に伴うものだ。上川も宏池会所属である。深澤は、望月、上川と同様、宏池会で活躍した元建設大臣、故・原田昇左右に見いだされ、望月の生前から後継者と目されてきた。上川の報告を受けた岸田は「宏池会としても、全力で応援する」と約束した。{b・・・