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政治

総理は「謀略ドラマ」がお好き

《政界スキャン》

2020年2月号

 政治家になっていなければ映画監督になりたかったというくらいだから、安倍晋三首相が今も大の映画好きなのは理解しよう。だとしても、側近たちとの雑談で列挙する好きな作品の名前を聞くと、あれこれ心配になる。
「ハウス・オブ・カード 野望の階段」=手段を選ばない野心家の米副大統領が、権謀術数を尽くし、殺人もいとわず、ひそかに大統領弾劾を仕掛けて辞任に追い込み、まんまと後釜に座る。六シーズン全七十三話。
 二〇一五年春に訪米した際、ホワイトハウスの公式夕食会で「私はこのドラマを(麻生太郎)副総理には見せないようにしようと思っている」とスピーチして笑いを取ったことがあるので、当時すでに見ていたわけだ。
「THE TUDORS~背徳の王冠~」=十六世紀イングランド王ヘンリー八世の半生記。四シーズン全三十八話。
「ザ・クラウン」=エリザベス女王の結婚(一九四七年)から最近までの戦後英王室・政治史。女王がチャールズ皇太子に「家族に気を付けて」と忠告する通り、王室一家の確執も赤裸々に描く。三シーズン全三十話。
 安倍首相は昨年八月、フランスで行われた主要七・・・