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経済

中西経団連「脱炭素構想」の欺瞞

重厚長大産業「切り捨て」に募る怨嗟

2020年2月号

 憤懣やる方ないのだろう。ある電力会社の首脳が吐き捨てた。
「日立は経団連会長会社たり得るのか。エネルギー担当役員は年始挨拶にも来ない」
 経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)が昨年十二月九日、二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロを目指す「チャレンジ・ゼロ」構想を打ち出して以来、電力・鉄鋼・化学の重厚長大産業には日立への怨嗟の声が渦巻く。同構想はCO2回収や水素活用など脱炭素技術をもつ企業を広く募り、今年五月にも百社以上の技術開発とその普及支援の取り組みを経団連として発表する方針。実質ゼロの目標年は示されていないが、二〇五〇年頃が措定されている。
「一九年の水害・火災の異常気象は気候変動の危機を世界の共通認識にした。従来の『低炭素』は弁解にしかならず、『脱炭素』の覚悟を宣言しなければならない」
 中西氏の口吻は、同構想に参加できない企業は生き残れないと断じているに等しい。CO2を大量排出する重厚長大産業にとっては業腹だが、世界の趨勢に照らせば正面から反論できない鬱屈がある。
 ところが、翌週の同月十八日に発表された日立の決断は、とりわ・・・