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経済

トヨタ「実験都市」開発のお粗末

章男・大輔父子の壮大な「無駄遣い」

2020年2月号

「これは私のフィールド・オブ・ドリームス」
 一月に開かれた「CES2020」でトヨタ自動車の豊田章男社長は、実際に人間が生活する環境で自動運転やMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)などの実証に取り組む実験都市「Woven City(ウーブン・シティ)」を二〇二一年に着工すると発表した。
 二〇年末に閉鎖する予定のトヨタ自動車東日本・東富士工場(静岡県裾野市)跡地を利用し、東京ドーム十五個分の敷地(約七十万八千㎡)にトヨタ従業員など関係者二千人程度が生活しながら次世代モビリティを実証する。

豊田家の「正統性」を示すため

 しかし、自動運転の研究者からは「実証実験としては悪手」との声がもっぱらだ。最大の問題は、トヨタによる「囲い込み」であること。「メンバーはオープンに募る」(章男社長)というが、実際には「トヨタの従業員とその家族、小売店舗、プロジェクトに参画する科学者、各業界のパートナー企業など」(同前)トヨタ関係者ばかり。「シリコンバレーのように誰でも自由に参加できる環境でなければ、・・・