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経済

先が見えないリニア静岡工区着工  最終手段は次期知事選「川勝降ろし」?

2020年2月号公開

「三者協議に他省庁を入れるのは困難だ」。一月十七日、リニア中央新幹線の静岡工区をめぐる協議が開かれ、静岡県庁を訪れた国交省の江口秀二審議官は難波喬司副知事にこう伝えた。三者協議とは、大井川の水問題で対立する県とJR東海に、調整役の国交省を加えるもの。県は「環境問題などの協議が不十分」として、環境省や農水省などの参加を要望したが、江口審議官は拒否の意向を示した。
 もっとも、県側が驚いたのは江口審議官が「県とJR東海の議論がかみ合わない。第三者に科学的かつ工学的な目で検証してもらった方がいい」として、新たに有識者会議を立ち上げる逆提案だった。静岡工区の着工が遅れれば、二〇二七年の開業は危うくなる。そこへ国交省が、一定の議論と期間を要する有識者会議の提案にあえて踏み切った。これでリニア開業はますます遠のく可能性が出てきた。
 県内自治体の幹部は「国交省は県とJR東海の妥協は無理だと判断した。つまり選択肢は、静岡県を避けてリニアのルートを変更するか、次期知事選で川勝平太知事を引きずり下ろすかの二つだ」と読んでいる。


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