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連載

《世界のキーパーソン》周晋峰 (生物多様性保護NGO代表)

新型肺炎の源「動物売買」の告発者

2020年2月号

 中国の悪食癖がまた、人類を脅かしている。二〇〇三年のサーズ肺炎のハクビシンに続き、今回の新型コロナウイルス感染源は、食用タケネズミともいわれる。
 タケネズミはその名の通り、筍や植物の根を食べ、毛がふさふさした愛嬌のある姿になる。毛をむしって焼くと「美味」とされ、安徽省など農村地帯では、大規模飼育をして、都市部に出荷している。
 情報統制の厳しい中国で、「今行動をとらなければ、同じことが起きる」と声をあげる学者が、周晋峰である。非政府団体(NGO)「生物多様性保護と緑の発展基金会」の代表で、これまでにも自然破壊対策や絶滅危惧種保護などで、活動を続けてきた。
 中国では、無許可の社会活動は不可能だ。周の基金会も実は「政府支援のNGO」という、いささか矛盾した存在である。国際環境会議などには「中国のNGO」として堂々と臨む一方、国内では悪質な業者を訴えるなど、一定の活動が認められている。
 周が告発するのは、野生動物取引だ。新型肺炎の震源地「武漢華南海鮮卸売市場」には、ざっと一千の業者が出店し、ラクダ、ヘビ、オオトカゲ、タケネズミ、コアラなど、他国・・・

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