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経済

危機管理「PR会社」が大繁盛

「ゴーン逃亡」でも暗躍した裏稼業

2020年2月号


 ピー・アール(PR)―。パブリック・リレーションズの頭文字であるこの言葉の意味を、広辞苑(第七版)では「企業・官庁などが、その活動内容を広く知らせ、多くの人の理解を得るために行う宣伝活動」と定義している。広報とも称されるPRの幅は広く、企業内に専門部署があり、PR会社も多くある。ただし通常、PR会社といえば、新製品についてのプレス・リリースをメディアに送っているイメージが強い。しかし最近、「有事」に直面した企業のイメージ戦略やメディア対応などを担うPR会社の存在感が増している。
 世間が年末気分の真っ只中に起きたカルロス・ゴーン氏の国外逃亡で、新聞、テレビの司法担当記者は正月休みが返上となった。発覚直後からゴーン氏周辺で情報管理を行い、一月八日にレバノンで開かれた記者会見などを取り仕切ったのが、フランスに本拠を置くPRエージェント「イマージュ7」だ。キャロル夫人などを巧みにメディアに登場させ、ゴーン氏側の正当性をアピールした。
 イマージュ7のトップであり創業者のアン・モー氏は、ジスカール・デスタン元仏大統領の広報担当者としてそのキャリアをスタートさせ・・・