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社会・文化

極めて危うし「東京五輪開催」

中止か規模縮小は不可避に

2020年3月号

 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が内外で拡大しており、七月二十四日開幕の東京五輪への影響は避けられなくなった。予定通り開催するとしても、その内容は強く制限されまともな大会にならない可能性が日々高まっている。政府や組織委員会は、現実を踏まえて影響を最小に抑制するためのダメージコントロールを真剣に考え、想定されうる事態を丁寧に説明する段階に入っている。
 本誌は、岐阜県で豚熱(CSF、豚コレラ)が発生した一昨年から「東京五輪を控えて、リスクはますます高くなる。人やモノの出入国管理の態勢を見直す好機としたい」(二〇一八年十二月号)と、グローバル化に伴う感染症の拡散に警鐘を鳴らし続けてきた。二〇〇一年に口蹄疫に見舞われた英国で総選挙が延期され、競馬やラグビーなどの試合も相次いで中止となった事例も紹介した。
 口蹄疫では、日本でも一〇年に全国高等学校野球選手権宮崎大会の一部が無観客試合となった。家畜の病気でさえ社会・経済への影響は甚大だ。ましてや致死性のある感染症の市中感染が明らかになっている状況で、五輪のような巨大イベントをまともに開けると考える方が非常識だ。・・・