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政治

安倍「四選論」の裏の神経戦

政権終幕を見据えた主導権争い

2020年3月号

 最近、永田町で安倍晋三首相の自民党総裁四選論が喧しい。「桜を見る会」疑惑や、新型コロナウイルスへの対応などが影響し各社の世論調査で内閣支持率が急落。安倍本人も四選を否定する中で「やっぱり安倍首相じゃないと駄目だ、安倍首相しかいないという声が周辺に出始めている」(世耕弘成自民党参議院幹事長)とは別世界の話かと見紛うが、ポスト安倍時代を見据えた神経戦が始まっていることの表れにほかならない。
「(安倍が四選を決意するなら)党内で首相を推す人は多い」。自民党の二階俊博幹事長が一月三十日、CS番組の収録でこう語ったかと思えば、安倍の後見役を自任する森喜朗元首相が『文藝春秋』三月号のインタビューで「安倍さんに続けてもらうことが、最も国益に適う」とぶち上げた。安倍の盟友麻生太郎副総理兼財務相も昨年末に四選への期待感を示している。
 いずれの四選論にも共通するのは外交だ。中でも十一月の米大統領選でトランプが再選されれば「カウンターパートは安倍首相以外考えられない」(自民党幹部)からだが、表向きの理屈に過ぎない。安倍の意中の後継である岸田文雄自民党政調会長への評価を座標軸にすれば、・・・