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経済

電力業界が新型肺炎で供出の防護服 中国の医療現場に届くか心配の声

2020年3月号公開

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中国に対し、電力業界が供出した防護服二万四千着が届くのか危ぶまれている。中国の医療現場では防護服が足りておらず、自民党へ緊急供出が要請された。自民党は同ウイルス対策の会合を三回開いたが、岸田文雄政調会長は中国嫌いの安倍晋三首相に遠慮してか、何も発言せず、二階俊博幹事長の主導で「電力業界に協力を求める」こととなった。
 供出する防護服は、電力九社のうち、四国電力が最も多い四千着、最も少ない東京電力が五百五十着。日本原電、日本原燃、Jパワーも合わせ、十二社で計二万四千着となった。しかし、問題は買い取るのが中国のネット通販最大手、アリババ集団であることだ。防護服はアリババが指定する関西の倉庫に集められたままだという。
 中国全土は同ウイルスの感染拡大によって物流網が停滞しているうえ、外出を控える消費者が生活物資をネット通販に注文し、混乱に拍車を掛けている。電力業界では「防護服の調達をネット通販業者などに委託すること自体、中国の医療体制が機能していない証拠」と不安が囁かれている。
 


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