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地銀への独禁法適用除外で 囁かれる金融庁の再編「強要」

2020年3月号

今国会に独占禁止法の適用除外を定める特例法案が提出されるのに伴い、複数の地方銀行の再編が囁かれ始めた。青森県の青森銀行とみちのく銀行、秋田県の秋田銀行と北都銀行、鳥取県の鳥取銀行と隣県の山陰合同銀行だ。
 金融庁によると、いずれも県内の企業向け融資シェアが高く、青森県と秋田県の県内二行を合算するとそれぞれ七〇%を超え、鳥取銀と山陰合同銀の鳥取県内での合算シェアも七〇%に達する。これまでは独禁法に抵触するため合併は不可能だったが、特例法が成立すれば可能になる。
 金融庁関係者は「特例法案では政治家に汗をかいてもらった。それもあり形を残さねば」と語る。そのため金融業界では「特例法による合併ができる」との見方が広がり、金融庁が主導する半ば強引な再編劇が起きるとみられている。
 候補に挙がった地域は人口減少などで経済環境は厳しい。ただ、各地銀の経営状態が致命的に悪いということはないため、「いますぐ合併が必要な状況でもない」(地銀関係者)。金融庁の都合で合併に追い込まれるとしたら「可哀そう」(同前)との声も聞かれる。・・・