三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

気候変動で「新感染症リスク」急増

温暖化が生命を脅かす段階に

2020年3月号

 新型コロナウイルスの世界的大流行を受けて、各国の科学者の間では「地球温暖化により未知の疫病感染リスクが増えている」との懸念が高まっている。
 地球温暖化で、従来は熱帯・亜熱帯中心だった感染症が大幅に北上する危険が高まった。「感染症流行の頻度が温暖化で高まる」との指摘も増えている。
 さらに、シベリアの永久凍土や南極大陸の氷が溶けだすことによって、氷や土の中に封じ込められていた病原菌が蘇生して、人体に感染するという恐怖のシナリオについても、議論が始まった。ロシアでは、こうした蘇生ウイルスの新たな被害も報告されている。温暖化と疫病の、極めて不気味な関係を報告する。

永久凍土から蘇生するウイルス

 新型コロナウイルスが中国や日本で騒がれ始めた今年一月の初め。米エネルギー省や米オハイオ州立大学などの研究者が、「氷河に閉じ込められた太古のウイルス」に関する研究を緊急発表した。
 専門家の査読を経ていない段階での公表で、研究者たちはコロナウイルス流行に危機感を抱いたのは間違いない。
・・・