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社会・文化

日本企業は「機密情報」盗まれ過ぎ

サイバー攻撃「スパイ天国」の惨状

2020年3月号

 二〇二〇年に入ってから、相次いでスパイ工作事件が明るみに出ている。
 最初に話題になったのは、日本が誇る先端技術の大手メーカー、三菱電機。サイバー攻撃によって、自社の持つ情報だけでなく、同社が付き合いのある内閣府や防衛省、原子力規制委員会、資源エネルギー庁などの官公庁に加えて、重要インフラを担う電力や通信会社、JRや私鉄などの情報も盗まれた可能性が指摘された。
 このニュースのすぐ後、今度はソフトバンクがロシアのスパイ活動の餌食となっていたことが発覚。元社員が次世代通信システムの5Gに関連する機密情報をロシア人スパイに渡していたとして起訴された。KGB時代から科学やテクノロジー分野のスパイ工作を担ってきたスパイ集団が暗躍していたとされる。
 さらにNECや神戸製鋼所などもサイバー攻撃に晒されていたことが相次いで発覚した。もっとも、こうしたケースはたまたま表面化しただけで、日本に対するスパイ工作のほんの一端に過ぎない。国防やインフラなど日本の機微情報が、多層的な手法で盗まれ放題となっているのが実情だ。

NEC顔認証システムも被害に・・・