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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》国立感染症研究所

新型肺炎で機能不全の「利権集団」

2020年3月号

 企業のテレワーク、イベント開催の自粛、そして全小中高校の休校―。
 泥縄式の政府の「要請」が示すのは、これまで行政が続けてきた不作為と怠慢の事実である。政府は感染症対策の「司令塔の不在」を認め、流行が落ち着けば、新組織を含む体制強化を検討することを決めた。
 感染症対策を専門とする医師は「そんなことをしても屋上屋を重ねて、国が焼け太るだけ」と手厳しい。この専門医が問題視するのは、国立感染症研究所(感染研)の機能不全だ。「今回の流行でも、感染対策そっちのけで利権拡大に勤しんだ」という。一体、どういうことだろうか。その呆れた実態を詳らかにしよう。

国民の命よりワクチン利権の死守

 新型ウイルスによるパンデミック対策で、日本で司令塔の役割を担うのは感染研だ。そのことは二月十六日に初回の会合が開催された政府の専門家会議のメンバーを見れば明らかだ。この会議は十二人の委員から構成されるが、感染研からは三人が選ばれている。
 座長の脇田隆字は、感染研の所長だ。しかし専門はC型肝炎ウイルス。パ・・・