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WORLD

世界規模「コロナ情報戦」の醜悪

嘘と謀略が容易に拡散する時代

2020年4月号

 インターネットなどで情報が溢れかえる時代に、未曽有の感染症が世界規模で拡大するのは初めてのことだ。新型コロナウイルスに関する情報は、発生から様々な思惑が入り混じって錯綜している。
 一月半ば頃に新型コロナ拡大のニュースが世界的に報じられるようになってすぐ、米情報機関OBなどが、世界各地の関係者に向けてこんなメッセージを送っている。
「中国で広がっている新型コロナウイルスだが、武漢には人民解放軍の関与が指摘される研究所が存在している。武漢がそうした研究活動の中心的な地域であることに留意すべきである」
 さらに新型コロナが中国の研究施設から漏れたとの見方を示唆し、「現時点で、これが今回のウイルスに対する私たちの見解である」とも言及していた。欧米の情報当局は、このようにメディア関係者にもネタを流しながら情報工作を行うのが常道である。今回も例外ではなかった。
 案の定、一月末には、欧米のタブロイド系メディアは新型コロナが「研究所」で扱われている「生物兵器」であるという話をこぞって報じた。そうした記事は保守系の米連邦議員や元イスラエル軍の情報部員のコメン・・・