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政治

《罪深きはこの官僚》吉田 学(厚生労働省医政局長)

感染拡大「医療現場混乱」を助長

2020年4月号

 「この状況で存在感を発揮できないのは官僚として致命的」
 厚生労働省を担当する全国紙記者はこう語る。新型コロナウイルスの感染者が拡大する未曽有の事態の中、厚労省の筆頭である医政局のトップを務めている吉田学のことだ。新型コロナ関連の厚労委員会質疑では答弁するシーンもあるが、あまりに目立たない。医政局長は、かつては医系技官の最高ポストになるケースも多かった立場で、病院や保健所など、我が国の医療システム全般を指導する任を負う。にもかかわらず現場の混乱は今も続いており、吉田の責任に帰すべき部分が大きい。
 京都大学法学部を卒業した吉田は、一九八四年に旧厚生省に入省。その後、旧保健医療局や老人保健福祉局などでのポストや、山口県に出向した後、大臣官房総務課で広報室長などを歴任してきた人物だ。また、民主党政権時代には前首相、野田佳彦の秘書官も務め、消費税率一〇%への引き上げと社会保障をパッケージにした「一体改革」を担当した。
 政権交代により一旦は本省に戻ったが、すぐに内閣官房で社会保障改革担当室審議官になるなど、自民党政権下でもその手腕が期待された「旧厚生省組のエー・・・