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連載

Book Reviewing Globe 431

自由主義をどう立て直すか

2020年4月号

 戦後、自由主義に基づく政治体制と国際秩序を構築してきた米国に起こるポピュリズムのうねりと、一党独裁の政治体制と自らの秩序観を世界に投射する中国の容赦ない挑戦の下、自由主義を取り巻く環境は急激に険しくなりつつある。すでに、国際秩序の空洞化はルールを無視し、むき出しのパワーを振りかざす中国やロシア、そして何よりもトランプの米国による地政学と地経学の台頭をもたらしている。
 いかにして、自由主義を立て直すか。この二十一世紀の大テーマを考える時に、政治経済体制であり国際秩序としての自由主義とはそもそもどのような進化を遂げてきたのか、を知ることが欠かせない。「自由主義の消滅」の危機感をバネに著したというこの本は、その際のまたとない手引きとなるだろう。
 自由主義はもともと、「何かからの自由」の思想である。「多数の専制」からの自由、国家権力からの自由を意図する。国家権力を制約する、つまり、主権在民である。ルールと機構によって国家権力を制限する。三権分立、なかでも議会による公開の議論と独立した司法を重視する。
 以上が憲政面での自由主義の特徴とすれば、個々人の所有権の・・・