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独「科学アカデミー」がコロナで大活躍

優れた「提言」で国民救済

2020年5月号

 新型コロナウイルス感染症対策で成果を上げているドイツで、アンゲラ・メルケル首相を補佐する、強力な学際頭脳集団が影響力を強めている。
 神聖ローマ帝国に起源を持つ、国立科学アカデミー「レオポルディーナ」である。自然科学から法学、心理学、経済学など各分野の碩学を糾合するのが特徴だ。提言は、経済・社会への影響を踏まえた「国家総合戦略」になっている。
 四月中旬、ドイツ国民は「レオポルディーナ」という聞きなれない言葉を、突如頻繁に耳にするようになった。
 メルケル首相は、「私にとって重要なのは、レオポルディーナの提言だ。しっかり検討させてもらう」と語り、関係閣僚も相次いで「レオポルディーナの目標実現に向けて、動く」と述べた。まるで、ドイツの命運がこの機関に握られているような扱いだった。
 注目の提言は、「規制の部分的解除は可能かつ必要」という骨子。メルケル首相は四月十五日、外出制限を維持しながら、商店の営業再開など部分的緩和に踏み切ることを発表した。西欧の主要国で最速の、経済活動再開だった。

深くて広い「総合戦略」を提言・・・