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連載

西風 468

新型コロナが脅かす「遊園地文化」

2020年5月号

 南海電鉄系の遊園地「みさき公園」(大阪府岬町)が、三月三十一日に歴史の幕を下ろした。
 一九五七(昭和三十二)年に開園し、動物園兼遊園地として沿線住民に親しまれてきた同園では二月二十九日から「卒園式」と銘打ったイベントを企画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために同日から臨時休園することになってしまった。三月二十四日に営業を再開したものの最後の土日である二十八、二十九日も休園。ウイルスに翻弄される幕引きになった。
 それでも、最終日の三十一日には開園前に約二百人が集まったほか、一日で約七千人が入園した。
 これで関西の五大私鉄系列の遊園地は京阪電鉄のひらかたパーク(大阪府枚方市)と近畿日本鉄道系の生駒山上遊園地(奈良県生駒市)を残すのみになった。
「私鉄王国」といわれる関西で大手私鉄は、電車の利用客を増やす目的で明治末期から沿線に遊園地などの遊戯施設や温泉大浴場などを競うように開設した。前述したものに加えて、阪急電鉄は宝塚ファミリーランド(兵庫県宝塚市)、阪神電鉄は甲子園阪神パーク(同西宮市)。近鉄は、生駒山上以外にも玉手山遊園地(・・・