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連載

新大学評判記 第5話

急遽開始「オンライン講義」で大混乱

2020年5月号

 新型コロナウイルス感染は世界のあらゆる分野に影響を広げており、日本の大学はまさに大混乱の最中にある。東京、大阪など大都市圏の大学の大半は前期講義をすべてオンライン化する。欧米の大学や日本の予備校が、早くから取り組んできた遠隔講義が「地上最後の楽園」である日本の大学を大転換させようとしている。
 JR中央線沿線は「大学銀座」とも呼ばれる。中野の帝京平成大から始まり、西荻窪の東京女子大、吉祥寺にある安倍首相の母校、成蹊大、三鷹の国際基督教大(ICU)、武蔵境の亜細亜大、武蔵野大、国分寺の東京経済大などと連なる。「大学銀座」で三月末、突然の大波が起きた。各大学が学長名で「前期講義を教室での対面では行わず、すべてオンライン講義とする」との通知を出したからだ。
 オンライン講義を「大学銀座」がいち早く打ち出したのは、通学に新宿、渋谷など巨大ターミナル駅を通過する学生が多く、感染リスクの回避が困難だからだ。その後、オンラインの津波は都内や神奈川、埼玉、千葉県などの国公私立大ほぼすべてを呑み込んだ。
 適切かつ賢明な判断であり、出席証明のためだけに教室に行く多くの学生・・・

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