三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

WHO「分裂」を乞う台湾

「米国脱退」なら新組織の結成へ

2020年6月号

 五月十八、十九日の両日、テレビ会議の形で開催された世界保健機関(WHO)の年次総会は、新型コロナウイルス発生国の中国が主導する形で進められたため、WHOの最大の資金拠出国である米国が強く反発、トランプ大統領はWHOからの離脱を示唆した。一方、中国の圧力でWHOから排除されている台湾は水面下で米国に接近し、米国を中心に価値観を共有する国々で、新しい保健衛生分野の国際組織の結成を模索し始めている。
 米国は年次総会が開幕する前から、WHOに対し、コロナウイルスを拡散させた中国の責任追及と、台湾のオブザーバー参加を認めるよう強く求めたが、中国の多数派工作によっていずれも実現しなかった。トランプ大統領は総会開幕の十八日、WHOのテドロス事務局長に宛てた「三十日以内に改善が見られなければ、停止中のWHOへの資金拠出を恒久的にやめ、脱退も検討する」との書簡をツイッターで公開した。二〇一八~一九年のWHO予算総額五十六億ドル(約六千億円)の約一五%が米国からの資金。米国の支払い拒否は、WHOにとって大きな痛手だ。
 トランプ氏は書簡の中で、台湾が昨年十二月末、WHOに「コロナウ・・・