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政治

安倍も悩む「退陣の時」

世論も与党も離反の果てに

2020年6月号

 三十八年間続いた自民党一党支配が終焉に向けて坂道を転がり始めたきっかけは、一九九二年八月末に表面化した当時の自民党副総裁金丸信をめぐる巨額献金事件だった。金丸は副総裁辞任の記者会見をした後、私邸から一歩も出ずに引き籠り、大好きな麻雀に明け暮れた。金丸の相手をしたメンバーには大手メディアの幹部や現役の政治部記者もいた。この金丸に対して東京地検が下した刑事処分は略式起訴による罰金二十万円。国民世論は沸騰した。
「五億円もらって二十万円の罰金で済ませるのか」
 東京・霞が関の検察庁庁舎玄関前の表札を埋め込んだ台座にはペンキの瓶が投げつけられた。台座は白と黄に染まった。この後、金丸は議員辞職、そして翌年の巨額脱税事件で逮捕、起訴される。
 それから約二十八年。東京高検検事長を辞職した黒川弘務の定年延長と検察庁法改正をめぐる政治混乱が、金丸事件と二重映しに見えてくる。新型コロナウイルスによる感染症の拡大を防ぐため国民がこぞって外出自粛を求められている最中に、「時の人」となった黒川と産経、朝日両新聞社の現・元記者三人との賭け麻雀が「週刊文春」によって暴かれたからだ。・・・