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社会・文化

コロナ「日本人死者数」の謎解き

第二波では「激増」の可能性も

2020年6月号

「我が国の人口当たりの感染者数や死亡者数は、G7、主要先進国の中でも圧倒的に少なく抑え込むことができている。これは数字上明らかな客観的事実です」
 安倍晋三首相は五月十四日の記者会見でこう語った。
 確かに、五月二十五日現在の人口十万人あたりの感染者数は十三人で、米四百八十七人、伊三百七十九人、英三百八十七人、仏二百二十人、独二百十六人とは桁違いだ。致死率も五・〇%で米六・〇%、伊一四・三%、英一四・三%、仏一九・九%、独の四・六%を除いて他国より低い。安倍首相の発言を裏付ける。
 日本では、「手を洗う習慣があるなど綺麗好き」「キスやハグなどをしない」などの理由を挙げ、「日本の対策は海外も驚くほど大成功」と自画自賛する論調が目立つが、この主張を真に受ける専門家は少ない。
 なぜだろうか。それは日本で流行したウイルスは欧米よりも毒性が低かったからだ。この違いが感染者数と致死率に大きな差を生じさせている。ある内科医は「日本が梅雨とすれば、欧米は台風」と喩える。
 東アジアと欧米では第一波の流行が収束し、感染拡大の中心はインド、ブラジル、アフ・・・