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「習近平降ろし」に挑む李克強

米国の対中制裁で割れる共産党

2020年7月号

 新型コロナウイルスの再燃、香港版国家安全法の審議などに揺れた六月の北京は、その裏で共産党内部の権力闘争も激しさを増していた。ナンバー2の李克強首相が、最高指導者である習近平国家主席に対して次々と攻撃を仕掛け、習氏に奪われた経済政策の主導権を取り戻そうとしているのだ。狙いは二年後、二〇二二年秋の党大会で習氏を引退に追い込むことだ。

李氏が放った「三本の矢」

「李克強首相が体調不良を理由に中央政治局に辞表を提出した」
 こんな噂が北京の共産党関係者の間で流れたのは六月十日ごろだった。複数の海外の中国語ニュースサイトはすぐにこの噂を大きく報じた。しかし、その後、李氏は中国最大規模の輸出入品の見本市である広州交易会のオンライン開幕式に出席し、連日、国務院の会議などを主宰し、精力的に活動し続けた。体調不良の気配を全く見せていないどころか、財政や金融政策などについて細かい指示を出し、むしろ以前と比べて元気になった感もあった。その後、「李氏は党中央に慰留された」との情報も流れた。
 共産党内部事情に詳・・・