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経済

米国「金融危機」はやはり来る

コロナで弾ける「企業ローン」バブル

2020年7月号

 本誌二〇一九年四月号で急拡大するローン担保証券(CLO)の危険性に関して指摘した。一年余りが経過して、筆者も想像しなかった新型コロナウイルスのパンデミックという形でCLOバブル崩壊が始まっている。二〇〇〇年代に質の低い住宅ローンが経済成長を牽引したように、一〇年代は質の低い企業ローンが経済成長を牽引した時代だった。そのツケを払う時がすでに来ている。危機は進行中である。
「(パンデミックによる経済低迷)状況が長く続くにつれて、銀行が直面する損失が増加することを懸念しています。大手銀行は〇八年金融危機前より多くの資本を保有していますが、十分ではありません」。米ミネアポリス連邦準備銀行のニール・カシュカリ総裁は六月、CBSの報道番組「フェイス・ザ・ネーション」で、「金融危機の可能性」について問われた際にこう答えて厳しい警告を発した。銀行は「配当支払いをやめて資金調達すべき」だとし、危機に対して十分に備えるように促した。
 同氏は、前回危機時にポールソン財務長官(当時)の下で、不良資産救済(TARP)プログラムの責任者として自動車業界の救済などに当たった。実体経済の危機対・・・