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経済

メガバンクに迫る「格下げ」危機

コロナ「金融不安」の高まる足音

2020年7月号

「リーマンショックとは異なり、銀行は健全性を確保している」
 新型コロナ危機の影響を巡って、銀行業界や金融当局は口を揃えてこう語る。「心配ご無用」というわけだ。しかし、残念ながらこの主張の根拠は乏しい。確かに、今回はリーマンショックのように銀行発の危機ではないものの、経済的なダメージが長期化すれば、いずれ、その波は銀行にも襲いかかってくる。
 それを端的に示唆したのが金融庁である。「銀行に不安はない」と強調する一方で、金融庁は地域金融機関に対する公的資金注入の法的スキームである金融機能強化法を拡充した。これは新型コロナ問題の影響で経営悪化した融資先企業の倒産による不良債権の増大が、地域金融などの資本を食いつぶすことを想定した、事前の手当にほかならない。だが、問題は何も地方銀行に限られたわけではない。
 三月から四月、三菱UFJ、三井住友、みずほの三メガバンクの首脳たちをうろたえさせる事態が続発した。その一つが、ドル資金の調達難だ。コロナで動揺した国際金融市場では瞬く間にドル資金が枯渇し、メガバンクは揃って「外貨繰りの危機に瀕した」(メガバンク関係者)のだ。・・・