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イスラエル「サイバー戦力」の脅威

イラン重要施設「連続爆破」の深層

2020年8月号

 イランの核開発施設が今年の夏、連続的な破壊攻撃に見舞われている。背後にあるのは、米国の協力を得たイスラエルによるサイバー攻撃だ。イラン政府は、新型コロナウイルスの感染拡大、核関連施設へのサイバー攻撃、国内に蔓延するスパイ疑惑という多重危機に見舞われている。
 イラン国民は元来、自国の核施設や最新兵器施設を目にすることはめったにない。中には国際社会を欺くため地下深くに作られた施設もある。
 ところが今年六月二十六日、テヘラン市民の多くは、遠い夜空に炎があがったのを目にした。
 首都近郊にあるミサイル製造施設で連続爆発が起こり、巨大な炎が夜空を赤々と照らしたのだ。その数日後の六月三十日、テヘランの別の地区でガス爆発が起こり、近くの診療所にいた十九人が死亡した。
 七月二日、ナタンツの核施設で大爆発が起こった。ウラン濃縮のための遠心分離機を製造する、イラン核開発の心臓部である。米国の衛星写真では、施設の屋根の半分以上が吹き飛んでいた。この後も、原子力発電所があるブシェールの港湾施設爆発など、六月下旬から七月にかけ、ほぼ数日おきに火災や爆発が相次いだ。・・・