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北方領土「媚ロシア外交」が致命傷に

官邸官僚「今井・長谷川」の重罪

2020年8月号

 北方領土問題が動くたびに、サハリン州漁業関係者などロシアの「反日マフィア」が妨害工作を企てることはあまり知られていない。反日マフィアは、世界有数の漁場である北方領土海域の漁業利権を持つ勢力が中核で、議会や大統領府、情報機関、軍、外務省、学者などの保守派に広範なネットワークを築き、ソ連時代から反日工作を仕掛けてきた。
 ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長の訪日が取りざたされた一九八七年、ソ連秘密警察が日本大使館の武官を違法な写真撮影を口実に追放し、訪日機運が吹き飛んだ時も、背後で反日マフィアが暗躍していた。エリツィン・ロシア大統領が領土問題解決を模索していた九二年夏には、議会公聴会を開催してけん制した。橋本龍太郎首相とエリツィンの首脳交渉の背後でも、交渉を妨害する様々な動きがあった。
 プーチン時代初期には、ロシアの領有を正当化する反日書籍が次々に出版されたが、スポンサーの多くは漁業マフィアだった。その後の北方領土開発計画、閣僚らの四島視察も彼らがお膳立てした。
 反日マフィアは組織化されているわけではなく、世代交代でメンバーも代わるが、現在の中心人物の一人は・・・